法科大学院生(ロースクール生)のための弁護士就職活動対策。エントリー対策、説明会対策、個別訪問対策など。

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法科大学院生(ロースクール生)の弁護士就職活動

法科大学院生の法律事務所(弁護士)への就職活動対策

エントリーシート、履歴書について

最低限気を付けていただきたいことを以下にあげてみました。こんなこと当然と思われることも多いかもしれませんが、すべて実際にあった出来事です。

  • エントリーシートの必須項目が記入されていなかった。
    送信前に必ず確認しましょう。後で気づいた場合はすぐフォローのメールを入れましょう。
  • 志望動機に他の事務所への熱意がとくとくと訴えられていた。
    テンプレートを使いまわしたり、コピペをする際には注意しましょう。
  • 志望動機や自己PRが、あまりにも奇をてらいすぎていた。
    光る内容があるのは大事ですが、一発逆転を狙いすぎないようにしましょう。
  • 特定の法分野への熱意が強すぎた。
    これ自体は良いことですが、事実上ほとんど取り扱いのない分野であった場合、「うちに来てもらっても不満足だろう」という結論で不可となる場合があります。各事務所がホームページに掲載している取扱分野は広めに記載されていることが多いため、事務所研究をする場合は「主な取扱分野」の一覧だけに頼らず、最新のニューズレターなども参照し、アクティブな分野である否かの調査を行いましょう。

法律事務所説明会の対策

かつては短答式のスコア次第である程度最終結果が見通せる時代がありましたが、現在では採点方式の変更などもあり、短答式の結果だけでは最終結果の見通しがつかなくなりました。そのためもあり、最終結果発表まではあまり就職活動に積極的になれない就活生の方もいるようです。

一方で、司法試験実施直後の5月6月に事務所説明会などの採用活動を行う事務所は、通常は内定者の不合格リスクを織り込み済みです。ですので、就活生側が不合格リスクを考慮して、就職活動を控える必要はありません。逆に周囲が躊躇しているこの時期こそ、積極的に動くチャンスととらえることもできます。司法試験試験直後の時期にのみ説明会を開催する事務所もありますので、合格発表前の時期から積極的に動いてみてはいかがでしょうか。

事務所説明会は定員の都合などもあり、応募しても必ず参加できるとは限りません。それでも応募はしておくことをおすすめします。応募履歴は管理されている場合もあります。たとえ参加できなくても、応募したという事実だけでも残しておくべきです。これが後の個別訪問や最終選考の際に有利に働く場合もあります。

説明会への応募は早めに行いましょう。説明会については選考を行わず先着順とする事務所も少なくありません。また上述の応募履歴の面から見ても、参加表明は早いに越したことはありません。

当然ながら、事務所説明会のドタキャンは、やむを得ない理由がない限りやめましょう。特に無断欠席は、狭い世界(=所属事務所に関係なく縦横のつながりが蜜な世界)ということもあり、応募云々のみならず、その後のキャリアでも思いがけない不利を被ることもあります。

説明会の実施中は、挙動不審な行動を取らないようにしましょう。当然のことのように思われるかもしれませんが、落ち着きがない方、ずっと私語をしている方などが毎年いらっしゃるようです。また、質疑応答では質問すること自体が目的とならないよう心がけ、悪目立ちはしないようにしましょう。

個別訪問・面接の対策

自分を大きく見せようとして、無理をしたり背伸びしたりする必要はありません。一発逆転狙いのビッグマウスは、1対1の面接ではいざしらず、1対多の面接ではまず功を奏しません。緊張はして当然です。まともにコミュニケーションできないレベルでなければ、緊張はむしろ好印象な場合もあります。

面接の評価において、複数の面接官がいる場合には、何らかのレーティングが行われることが多いようです。単純な平均を取る場合や、競技の判定のように最高値・最低値をカットした平均をとる場合など、事務所や年度により形態は様々です。

面接官は主に弁護士が行うことになりますが、実際には、採用活動に熱心な弁護士と、そうでない弁護士が存在しています。
弁護士は、当然ながら採用業務が本来の業務ではありませんので、一般企業の面接とはやや異なる雰囲気になることもあります。
採用業務に熱心な弁護士は、企業の採用担当のように、志望動機や興味のある法分野とその知識といった、いかにも面接然とした話題を投げかけてきます。そうでない弁護士は、単なる雑談や今後のアドバイス、思い出話などに終始することもあります。

大学やロースクールのOBOGが選考に関わっている場合もあると思いますが、話しやすいからと、特定の弁護士の顔ばかりを見続けるのではなく、面接官全員に語りかける方が全体の評価は高くなりやすいです。

苦手なタイプの面接官にもしっかりとしたコミュニケーションをとりましょう。
面接の場で厳しいコメントを頂くこともありますが、結果として高評価という場合も多くあるようです。

これは逆もまた真なりで、ある弁護士が入所後に、たまたま自身の面接の評価を見てしまったところ、面接の際に終始笑顔で対応してくれた面接官からの評価が一番悪く、終始対応に苦慮した面接官からの評価が一番高かったそうです。
一見して厳しそうな弁護士にもしっかりとした対応をしましょう。

その他、癖のある先生や気難しい先生に対しても、しっかりとしたコミュニケーションができていると、あの先生とうまくやっていけそうなら・・・ということで、他の面接官からの評価が上がる場合もあるようです。

ネーミングパートナーや代表弁護士の意見はもちろん尊重されますが、第一線を退いた大御所の先生の場合、「みんなが気に入ればそれでいいよ」といったスタンスで、評価に積極的にかかわらない場合もあります。新卒採用に関しては、一概に事務所内の序列に比例して影響力があるというわけでもないようです。

最後に、社会人として当然のことですが、事務所説明会や個別訪問のアレンジや受付をしてくれる事務所のスタッフの方々に対しても、丁重に接しましょう。選考プロセスの中で、スタッフの意見が考慮される場合もあります。スタッフの意見が選考者にマイナスの心証を与えることは十分にあり得ます。

マナー

個別訪問や採用面接の際に必要とされる基本的なマナーのうち、社会人経験のない法科大学院生にありがちな所作をあげてみます。
とはいえ、以下のような所作をいくつも行いつつ内定を取った方も多く聞くところですので、極端に気にしすぎる必要もないのかもしれません。

  • 頂戴した名刺は、すぐポケットや名刺入れにしまわず、面接官の席順に机の上に並べておく。
    (企業の面接と異なり、法律事務所の面接では面接官から名刺を渡されることがままあります。)
  • 名刺入れの上には名刺を置かない。
    (一般的には上席の方の名刺を名刺入れの上に置きますが、複数のパートナーが参加する場合は一見して上席が判断できないため、いずれの名刺も置かない方が無難です。)
  • 面接官が面接室(会議室)に入ってきたら、起立して挨拶する。
    (企業の面接と異なり、法律事務所の面接では面接官より先に面接室に通されていることが少なくありません。)
  • テーブル越しに名刺交換はしない。
    (ただし、大きめの会議室での面接の場合、長大な机を挟んで対面することもあるので臨機応変に。)
  • 着席をすすめられたら座る、すすめられないときは「失礼します」と言って面接官と同じタイミングで座る。
  • 一人称は「ぼく」ではなく「わたし」。
  • 最低限、自己PRに書いたことは深く突っ込まれても答えられるようにしておく。(重要)

法科大学院生の一般企業の法務部門への就職活動

企業法務部への就職活動については、一部の大手企業でロースクール修了生を対象とした企業説明会やエントリーを実施することはあるものの、基本的には一般の新卒採用と同様の流れです。一般的な就職活動については既に様々なノウハウや情報があふれていますので、本ページでは重複した説明は避けることにいたします。

法務の採用でも一般的には総合職としての採用となりますが、最近では法部関連部門への初期配属を前提とした大手企業の新卒採用も増えつつあります。一般に、総合職の場合はジョブローテーションとして法務以外の部門を経験することもありますので、法科大学院を卒業したからといって終身の法務部門への配属が確約されるわけではありません。

中小企業では法務と総務を兼ねた総務法務の形態をとる場合が多くありますが、ジョブローテーションなどは行わず、法務をより専門職として扱う傾向が強いようです。ただし、中小企業は原則として即戦力採用のため、新卒を法務として育成するよりも中途採用がメインとなります。

企業の法務部門は入口が狭き門となっていますが、一方で法務経験者というキャリアを得てしまえば、その後の転職・キャリアアップは他の職種に比べ容易です。企業の法務部門でのキャリアを目指す場合は、正規雇用のような就労形態ににこだわらず、ファーストワンマイルを突破することを最初の目標に設定しても良いでしょう。

また、企業の法務部門においては、弁護士資格の有無は法律事務所ほどは大きな評価要素とはならず、他社での法務実務経験を持っている方がより強い評価要素となります。法務のアドバイザーとしては既に顧問弁護士がその役割を担っていることが多いため、インハウス弁護士には単なるアドバイザーではなく、自社のビジネスにおけるプレイヤーとしての役割を期待されることが多いようです。

実際に法務・弁護士の中途採用を予定している企業との対話の中で、「ビジネスマインド」、「事業への主体的な参加」、「単なるアドバイザーではなく」といったリクエストは必ずと言っていいほど付加されます。これらの要素は法務部員として弁護士を中途採用する際に最もネックとなる部分でもあり、逆に法務実務経験者にとっては大きく売り出せるポイントです。

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